投稿者: 原賀勇壮 (Isao Haraga)

  • 音楽療法(Music therapy)

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    詳細な論文まとめは下部参照

    以下の論文中では、
    ・訓練を受けた音楽療法士が実施する「音楽療法」
    ・医療スタッフが提供する録音音楽などの「音楽医療」

    などに分類されていました。
    特に「音楽療法」では、

    ・個別化
    ・双方向性
    ・患者さんに合わせた介入

    などの要素が含まれています。

    なので、
    単純に「生演奏だから効果」ではなく、
    「人に合わせて作られる関わり」
    も重要なのかもしれません。

    —2026/4/9更新————————————————–

    「音楽療法の効果」

    福岡国際音楽大学 

    ちょうど、先週の職場の抄読会でも紹介したのですが、音楽は、すごい可能性があると感じています。

    現状、病院、緩和ケア病棟においては、イベント、癒やし、レクリエーション…的な捉え方をされている事が多いと思うのですが、きちんと、効果を評価した論文も存在します。

    抄読会で紹介したのは、

    「がん患者の心理的・身体的転帰を改善するための音楽介入」、詳細はリンク先に譲りますが、広く論文を集めて評価した結果、

    • 痛みに対しては大きな軽減効果
    • 不安に対しては中〜強度の改善効果
    • 疲労に対しては小〜中等度の改善効果

    が示されていました。

    特に興味深かったのは、
    QOL改善という意味では、録音音楽では明確な改善が見られず、音楽療法士による生演奏などの介入では改善が見られた
    とされている点です。

    生の楽器の演奏には、弾いている人の聴く人に対する想いや息づかい、空間全体が同時に鳴り響いてくる振動を伴う共鳴感など、ネットでダウンロード出来ない、本物だから伝わるものがあると感じます。

    ネットやAI全盛の時代だからこそ、逆に「人を癒やす、人が奏でる演奏」が大事になるのかもしれません。

    学問や研究が発展して、携わる人も増えて、数年後には病院での音楽の介入が、標準治療で当たり前になっている時代が来るかもしれません。

    ちょうど、今、ご縁のある地元の音楽教室とのコラボで、いろいろな試みを進めていきたいと考えています。

    抄読会で紹介した論文内容リンク↓

    Music interventions for improving psychological and physical outcomes in cancer patients – Bradt, J – 2016 | Cochrane Library 

    地元音楽教室↓篠崎ミュージックアカデミー北九州校 ー教室紹介ー

    In the following paper, the authors distinguished between:

    • “Music therapy,” provided by trained music therapists
    • “Music medicine,” such as recorded music provided by healthcare staff

    Particularly in “music therapy,” elements such as:

    • personalization
    • bidirectional interaction
    • patient-centered intervention

    were included.

    Therefore, the benefit may not simply come from “live performance itself,”
    but also from
    “human interaction tailored to each individual patient.”

    “The Effects of Music Therapy”

    Fukuoka International College of Music

    I happened to introduce this topic at our journal club last week, and I truly feel that music has tremendous potential.

    At present, in hospitals and palliative care wards, music is often regarded mainly as entertainment, comfort, or recreation. However, there are also well-designed studies that have properly evaluated its effects.

    The paper introduced at the journal club was:

    “Music interventions for improving psychological and physical outcomes in cancer patients.”

    I will leave the details to the original article, but after broadly reviewing and analyzing many studies, the authors found:

    • a large reduction effect on pain
    • a moderate to large improvement effect on anxiety
    • a small to moderate improvement effect on fatigue

    One particularly interesting finding was that, regarding improvement in quality of life (QOL), recorded music alone did not show a clear benefit, whereas interventions involving live music performed by trained music therapists did show improvement.

    I feel that live instrumental performance carries something that cannot simply be downloaded through the internet — the performer’s feelings toward the listener, the subtle sense of breathing, and the resonance that fills the entire space all at once.

    Precisely because we live in an era dominated by the internet and AI, “music performed by humans, healing other humans” may become even more important.

    As research and academic interest continue to grow, and as more people become involved in this field, we may eventually reach a time when music interventions in hospitals become a routine part of standard care.

    Right now, through a collaboration with a local music school with whom I have a meaningful connection, I hope to explore various new possibilities together.

    Link to the paper introduced at the journal club ↓

    Music interventions for improving psychological and physical outcomes in cancer patients – Bradt, J – 2016 | Cochrane Library 

    地元音楽教室↓篠崎ミュージックアカデミー北九州校 ー教室紹介ー

  • 口腔粘膜炎 (Oral Mucositis)

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    論文全文を読んだ上で、AI補助下でまとめています。

    たかが口内炎、では済まない事がある

    そして、背景もある

    以下、原文リンクと日本語詳細まとめ


    口腔粘膜炎

    臨床病理学的および生体行動学的因子は、頭頸部癌患者における口腔粘膜炎の発症および重症度に影響を与える 

    Supportive Care in Cancer. Volume 34, article number 478, (2026)

    Moreno de Carvalho M, et al. 原文リンク

    ブラジルの研究(サンパウロ州立大学)

    まとめ1

    この研究は、頭頸部癌放射線療法中の口腔粘膜炎について、糖尿病、放射線皮膚炎、飲酒、喫煙、口腔衛生困難などが重症化と関連する可能性を示した点で有用です。ただし、RCTではなく、効果量・信頼区間・絶対リスク差・NNTが示されていないため、**診療を変える決定的根拠ではなく、「リスク評価で注意すべき因子を示した探索的研究」**と位置づけるのが妥当です。 

    まとめ2

    明日から適用できるのは、「頭頸部癌RT患者では、糖尿病、喫煙・飲酒、口腔衛生困難、放射線皮膚炎、嚥下時痛がある患者をOM重症化リスクとして注意深く見る」というレベルです。診療を変える決定的根拠ではなく、リスク層別化と観察強化の参考にとどめるのが妥当です。 

    ■ 対象
    頭頸部癌患者50例(放射線療法施行、76%が化学療法併用)

    ■ 何を見たか
    放射線誘発性口腔粘膜炎(OM)の
    ・発症時期
    ・ピーク時重症度
    と、臨床病理・生体行動・人口統計因子との関連

    ■ 主な結果
    ・化学療法併用 → OM早期発症と関連
    ・糖尿病、放射線皮膚炎 → 発症時の重症度と関連
    ・ピーク重症度と関連
     高血圧、糖尿病、軽〜中等度飲酒、放射線皮膚炎
     嚥下時痛、口腔灼熱感、口腔衛生困難、オピオイド使用
    ・重度喫煙 → 口唇部病変と関連

    ■ その他
    ・年齢、性別、病期、放射線総線量などは関連なし

    ■ 結論(事実ベース)
    OMの発症と重症化は、
    臨床病理学的因子と生体行動学的因子の組み合わせにより
    段階ごとに異なる関連を示した

  • 緩和ケア病棟寄り添うピアノ曲集(Piano Collection for Palliative Care Wards)

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  • セカンドオピニオン(Second Opinion)

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  • 妻のがん、夫の決断

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    02 April 2026 

    妻の乳がん診断後,日本人男性配偶者は何をどう決めているのか:量的内容分析 日本(久留米大学)からの報告

    以下は簡単なまとめですが、ぜひ、原文をごらんください。

    結論 

    ・社会的意思決定は「日常生活支援・経済・就労」の3領域に分類
    ・最多は家事・育児などの日常生活支援
    ・多くの意思決定は治療開始前に実施
    ・解析対象は129名、139の意思決定

    図1(対象選定フロー)

    ・初期:550名
    ・最終解析:129名
    ・除外過程
     → 条件不一致・60歳以上除外
     → 治療関連のみ除外

    👉 「社会的意思決定」に限定した解析構造

    表1(参加者背景)

    ・夫:50代が最多(約53%)
    ・妻:40代が最多(約50%)

    👉 主体は「就労世代の夫 × 40代妻」

    表2(社会的意思決定の内訳)

    ■ 日常生活支援(最多)
    ・家事:24.5%
    ・育児:18.0%
    ・術後支援:12.2%

    ■ 経済
    ・医療費:18.7%
    ・家計管理・保険:少数

    ■ 就労
    ・勤務調整:7.2%
    ・休職・退職:少数

    構造整理

    ・総コード:139
    ・分類:3カテゴリ
     ① 日常生活支援
     ② 経済
     ③ 就労

    👉 複数カテゴリにまたがる(非排他的)

    重要なポイント(図表から直接読める事実)

    ・意思決定の中心は「生活」と「家計」
    ・就労は件数は少ないが存在
    ・分析対象は「治療以外」に限定されている

    「緩和ケアの現場の『性』問題」

    緩和ケアの外来、病棟、チーム、在宅で患者さんと様々な話をしますが、
    『性』についての質問は聞かれた事がありません。
    しかし、患者さんのQOLを語る上で、避けては通れない問題です。

    今月のPalliative Medicineでは、その問題に切り込んでいます。
    Apr 4, 2026
    なぜ緩和ケアの一部として“性”と“快楽”を扱う必要があるのか 

    緩和ケアの現場では、痛みや呼吸困難、不安といった症状には丁寧に向き合います。
    一方で、「性」や「親密性」、「快楽」といった領域は、ほとんど語られることがありません。

    これは患者さん側が望んでいないからではなく、
    医療者側が“話題にしてよいものではない”と無意識に線を引いている可能性が指摘されています。

    実際、本論文では、緩和ケアにおける性の問題は

    ・「終末期にふさわしくない」という価値観
    ・高齢者や患者は性的存在ではないという前提
    ・医療者側の教育・経験不足

    といった要因によって、体系的に見過ごされてきた領域であるとされています。

    しかし、本来、緩和ケアが目指すのは「生活の質(QOL)」の最大化です。
    そうであるならば、
    人が“どう生きたいか”という問いの中に、性や親密性が含まれていても不思議ではありません。

    論文の中では、最近のDisney+ドラマ『Dying for Sex』にも触れられています。
    40代で終末期乳がんと診断されたモリー・コーチャンの実話をもとに、終末期における性と快楽の追求を描いた作品です。

    一方で、科学的な側面では、
    16,000以上の論文をスクリーニングしたにもかかわらず、
    「性生活の懸念(快楽など)」を直接扱った研究は、わずか2件しか存在しませんでした。つまりこの領域は、
    **臨床では確実に存在するにもかかわらず、研究としてはほとんど扱われていない“空白領域”**であることが示されています。

  • カナダの若年がん患者、医師介助による死の選択

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    —2026/4/19更新————————————————–

    JAMA Oncol

    Published Online: April 16, 2026

    doi: 10.1001/jamaoncol.2026.0700

    原著論文(Original Investigation)

    がんを有する思春期・若年成人患者における医師介助死(MAID)の利用

    Emilie Muth(MN);Nicole Maseja(BA);Andrew Harper(MSc)ほか 

    AYAがん患者におけるMAID利用

    ■ 要点

    • 死亡前1年で症状負担は増加
    • 約5か月前から急激に悪化
    • 緩和ケア導入は遅い(半数が死亡3か月未満)

    ■ 結果

    • 症状:倦怠感・痛み・well-being低下が中心
    • 80%で
      👉 「意味ある活動ができない」
    • 背景:
      • 社会的孤立
      • コントロール欲求
      • 死の受容

    結論

    👉 進行がん診断や症状悪化をトリガーに早期緩和ケア導入

    臨床示唆

    • AYAの苦痛は
      👉 症状+“意味の喪失”

    拾えるタイミングはもっと早い

    終末期における若年成人がん患者のケアの質 Eduardo Bruera, MD

    JAMA Oncology(オンライン掲載:2026年4月16日)
    doi:10.1001/jamaoncol.2026.0489

    Muth らは、カナダ・アルバータ州において
    医療補助下死亡(MAID)を受けたAYA世代のがん患者を対象とした後ろ向きコホート研究を報告した。

    対象は、2021〜2022年にMAIDを受けた15〜39歳のがん患者全例
    包括的ながん登録と国民皆保険制度により、34例(18〜44歳)の詳細データが収集された。

    👉 29%が子どもを有していた

    🎯 臨床的示唆

    • AYAにおけるMAIDは家族背景(特に子ども)を含めた意思決定となる
    • 「個人の選択」ではなく、関係性の中での意思決定

    緩和ケアとしては
    → **意思決定支援の構造化(家族・社会)**が重要

  • 人間関係、名医の処方箋

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    2026/4/20更新————————————————–

    勝ち負けではない:重篤疾患においてコンサルタント医が意見の対立にどう対処するか 

    不一致は勝ち負けではない

    重症患者診療におけるコンサルト医の対応

    It’s Not About Winning or Losing: How Consultants Navigate Disagreement in Serious Illness

    Mary E. Callahan, MD, MS1 Send email to mec2287@cumc.columbia.edu ∙ Jesse A. Solomon, MD2Taya R. Cohen, PhD3Dio Kavalieratos, PhD4Robert M. Arnold, MD5   , Journal of Pain and Symptom Management, Original Article, Volume 71, Issue 5p698-707May 2026 

    📌 要点

    • 重症患者診療では、コンサルト医と主治医の不一致は一般的
    • 不一致への対処は十分に教育されていない

    📊 方法

    • 緩和ケア・腎臓・消化器の医師
    • フェロー10名、指導医9名
    • 半構造化インタビュー

    🔍 結果

    • 不一致がうまくいかない時
      → 自分の専門性・人格への批判と受け取られることが多い
    • フェロー
      → 不一致への対応を困難と感じる
    • 指導医
      → 「正しい判断」と同様に
      コミュニケーションを重視
    • 有効とされた対応
      → 直接話す
      → 相手の視点・関心を認識する
    • 教育
      → 不一致対応のトレーニングはほとんどない
      → 指導医は経験で習得

    📌 結論

    • フェローは不一致対応に十分な準備ができていない

    指導医のスキル(コミュニケーション・関係構築・視点理解)は教育可能である可能性がある

  • –妊娠中に癌が分かったら————————————————–

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    研究(オープンアクセス)
    妊娠中に診断されたがん:治療期およびサバイバー期における心理社会的経験の質的研究
    Jenny Harris et al.
    (Supportive Care in Cancer, 2026年4月23日)

    ■ 結論

    妊娠中にがんと診断された女性は、
    治療・出産・育児を同時に経験する中で、
    心理的・身体的・生活面の大きな負担を抱えることがある。

    一方で、適切な支援や医療体制によって、
    その負担を軽減できる可能性が示唆されている。

    👉 多職種による一体的なサポートが重要

    ■ 研究の概要

    • 英国の女性20名へのインタビュー研究
    • 妊娠中〜産後にかけての体験を分析
    • 心理的・社会的な課題に焦点

    ■ 明らかになった6つの側面

    ① 不確実性の中での治療

    • 妊娠により検査や治療に制約があることがある
    • 将来への不安を感じる場面がある

    ② 意思決定の難しさ

    • 治療・出産・授乳などの選択が重なる
    • 限られた情報の中で決断する必要がある

    ③ 妊娠・育児との両立

    • 通院や治療と育児の両立は負担が大きい
    • 産後すぐ治療が始まるケースもある

    ④ 仕事と経済面

    • 休職や収入減少が生じることがある
    • 通院や育児に伴う費用負担も課題

    ⑤ 感情面への影響

    • 不安や戸惑い、葛藤を感じることがある
    • 「嬉しいはずの妊娠」と「病気」の両立に悩む

    ⑥ 支援と回復

    • 孤立感を感じることもある
    • 治療後も不安が続くことがある一方、
      時間とともに整理されていく側面もある

    ■ この研究が示していること

    • 妊娠中のがんは「特別な状況」である
    • 医療だけでなく、心理・生活面の支援も重要
    • 支援のタイミングや方法は柔軟であるべき

    ■ 実臨床へのポイント

    • 情報提供と意思決定支援を丁寧に行う
    • 産科・腫瘍科・心理の連携
    • 家族も含めた支援体制
    • 治療後も継続したフォロー

    ■ 一言まとめ

    👉 「一人で抱えなくてよい状況をつくること」が重要